前川知大より

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作品概要

水木しげる先生の世界観をオリジナルストーリーの演劇として表現したい、と考えています。
ある一つの原作の舞台化でも水木先生の評伝でもありません。大切にしたいのは、水木先生の人生観、世界や不思議との関わり方です。
膨大な作品群から、エッセイやインタビュー、登場人物や言葉、エピソードをお借りして、一つの物語に編み上げます。
オリジナルストーリーでありながら、水木しげるが原作としか言えない演劇作品が目指すところです。
私というフィルターを通して出てくるものが、果たして水木作品と言えるのか。根拠は霊感でしかありませんが、自分なりの最大のオマージュになると思っています。

物語について

水木先生は、「妖怪は創作してはいけない。伝承があるのだから」と言っています。
柳田國男の「妖怪談義」や鳥山石燕の妖怪画を参考に、その姿を描き始めました。
漫画に登場する妖怪も、水木先生のオリジナルは鬼太郎やねずみ男、ネコ娘など、数えるほどしかありません。
無数の妖怪を描き、活躍させてきた水木先生は、「(自分で描いていて)本当に好きな妖怪はねずみ男だけ」という言葉を残しています。

ねずみ男は人間と妖怪の間に生まれた半妖怪。
不潔でずる賢くて自分勝手で怠け者、まったく褒めるところのないキャラクターです。
どんな悪事を働いても成功することはなく、最後は痛い目に会いますが、鬼太郎もきつくお仕置きはしない。
ねずみ男も学習せず、懲りずに同じようなことを繰り返す。
超人的なヒーローになっていく鬼太郎に対し、ねずみ男はいかにも人間くさい。
妖怪だらけの世界で、ひとり人間の現実を背負っています。妖怪なのに。
無邪気な毒と乾いたユーモア、時にハッとさせるような達観したセリフなど、ねずみ男には水木先生らしさと、温かい視線を感じます。
今作の主人公は、そのねずみ男をモデルにします。

(脚本・演出 前川知大)